物事に取り組むときの過程が重要か、結果が重要か、というふたつの考え方があります。人によって考え方は違うと思いますが、私は過程が大事だと考えています。結果主義の人に「結果がすべて。結果にこだわらないなんて甘ちゃんだ」と言われてしまいそうですが、それでも私は過程が大事だと思います。
私が高校3年生で大学受験にむけて勉強していたときは「結果がすべて」と考えていました。あのときは「どれだけ頑張っても合格しなければ意味がない。合格か不合格かで全く違うのだ。」と思っていました。当時は苦痛に感じていたわけではなく、むしろ大きな挑戦にわくわくして前向きに取り組んでいました。ただ、当時の追い込まれた心境を思い出すと今の私が苦しくなりますし、危うかったなと思います。幸い志望校に合格しましたが、もし不合格だったら「今までの努力には意味がなかった」と真っ白に燃え尽きてしまったのではないかと思います。
人生で成功と挫折を繰り返してきてー挫折と言っても他人から見てわかるような明らかな挫折もあれば、自分にしかわからない静かな挫折もたくさんあり、それらを繰り返して来てー20代の半ばあたりで思うようになったのは「自分なりに努力する」ということが一番大切なのではないかということです。結果が出ようと出まいと、誰かの称賛を得られようと得られまいと、目指す姿に向かって試行錯誤しながら取り組む姿勢が大切だと思います。今与えられた条件のなかで、一生懸命考えて自分のできる範囲で力を尽くす。結果がうまくいってもいかなくても、その姿勢は次に繋がると思うのです。「次はこんなふうに取り組んでみよう」と。
それに、一つがうまくいかなかったからと言ってすべてが台無しになるわけではないと思います。私は「どんな道に進んでも素晴らしい人生になる」と思っている楽天家です。志望大学に合格した今の人生も素晴らしいし、不合格だった人生も素晴らしいものになったに違いないと信じています。人生の中で「あのときこちらの道に進んだから今これが得られたのね。」と思いがけない出会いをしたことがいくつもありました。自分としては不本意な道に進んだ結果、今の夫に出会うことになりました。人生は何が起こるかわからないものです。ある瞬間に希望と違っていても、それは長い目で見たら必ずしも悪いと言えないのだなあと思うようになりました。目の前の結果を「良い/悪い」と簡単に判断できるものではないと学びました。
今年、私は「ちはやふる めぐり」という競技かるたのドラマを見ていました。このドラマがとても良かったです。主人公のめぐるは、何でもできる万能な幼馴染・凪(なぎ)ちゃんと仲良くしていましたが、凪ちゃんは志望の瑞沢高校に合格、めぐるは不合格となったときに圧倒的な差を感じ、それ以来めぐるは自分を出せなくなってしまいました。そんなめぐるが梅園高校で大江先生に出会い、かるたに出会い、仲間に出会い、自分が変わっていきます。安全地帯にとどまっていた彼女が一歩を踏み出し、仲間を鼓舞し、青春をかけて一心にかるたに打ち込む姿に感動しました。
第9回で、瑞沢高校と戦う直前、めぐるが仲間たちを鼓舞するシーン。胸が熱くなりました。
私、今まで「道を間違えた」って思いながら生きてきたの。でも、この道で先生と出会って、かるたと出会って、そして皆とも巡り会えた。 だから「この道で良かったんだ」って、今日こそ証明して見せる。勝とうよ。勝って全国に行こう。私たちの中に積もったもの全部、瑞沢にぶつけよう。行くよ。梅園、ファイトー!
ドラマの脚本を担当した小泉さんがXで
『ちはやふる 結び』を監督した時、千早たち瑞沢の快進撃を撮る一方で、その瑞沢に敗れた子たちの事が気になってた。彼らにだって瑞沢と同じくらい葛藤があったろうに、作劇として負ける他なかった。勝者にしか物語がないのか。んなわけあるか。そんな気持ちから『ちはやふる ーめぐりー』を書きました。
「敗者の物語」というコンセプト通りの素晴らしいお話でした。物語のラストシーンでは、勝ち負けを超えた大切なものをめぐるたちが得たことが分かってホッとしました。
第7話で綿谷新名人が東京都予選の開会宣言をするシーンがあります。名人自身も高校最後の年にこの大会に挑戦し派手に負けてしまったことを振り返って、「過去の選択はやり直せないけど、それを正解にしていくことなら今からでもできます。きょうは存分に力を発揮して、正解にしていってください」と選手に話していました。すごくいいなと思いました。
人生の瞬間瞬間で自分なりに一生懸命考えて取り組むことが何より大事だと思います。結果としてうまくいってもいかなくても、取り組み方ほど重要ではないと思います。努力する過程を通して、自分を理解し次の道を主体的に切り開いて行けると思います。受験勉強をしていたときの私にもしも今、会えたらそんな話をしてあげたいな、とよく思います。