「マウス操作したくない。キーボードから手を離したくない」「EnterとBack Spaceを押すたびに端まで指を動かすのは無駄じゃない?」「思考の速さで入力・編集したい」・・・。普通では満足できなくなったあなたに、一段階上の快適さを。
Vimはプログラマ向けのテキストエディタですが、私のような文章書きにも魅力的なエディタです。Vimの特徴はキーボードで操作が完結する点。大きく2つのモードがあり、文字を入力する挿入モード、カーソル移動や編集(切り取り、コピー、ペースト)を行うノーマルモード。モードを切り替えることで、限られたキーにいくつもの機能を与えています。操作は普通のエディタとかなり違うので慣れるまでは大変ですが、一度慣れると手放せなくなりますよ。
日本語版はKaoriYaからダウンロードできます。
細かい話ですが、私が使っているのはVimのGUI版であるGVimです。GUIとはグラフィカル・ユーザ・インターフェースの略で、一部マウス操作もできます。GUIの反対がCUI(キャラクタ・ユーザ・インタフェース)、マウスを使わずキーボードだけで操作します。ダウンロードするとGVimも一緒についてくるので、"gvim.exe"を開いてください。
Vimの魅力2つ目は、細かい設定ができるところです。ダウンロードしたフォルダにgvimrcという拡張子なしのファイルが入っています。このファイルに指示を書き足すと、オリジナルの設定がされた状態でエディタが開かれます。このファイルを編集するときは拡張子.txtをつけてテキストにして、編集が終わったら拡張子を消してフォルダ内に置いておいてください。
参考までに私のgvimrcを置いておきます。最初はいろいろトラブルが起きるので、それを回避するためのスクリプトも入れていますし、自分好みの設定も加えています。たとえば、「ノーマルモードでShiftキーを押すと日時が挿入される」→日記や記録をつける際に便利。
最初は文字を入力することすらままならないかもしれません(テキストエディタなのに!)。文字を入力するのは挿入モードです。ノーマルモードから挿入モード入る方法はa。aという文字が出てくるのではなく挿入のモードに切り替わります。これで文字が入力できます。
文字を消したいときは、いったんノーマルモードに戻ります。挿入モードからノーマルモードに戻るときは左上にあるEsc(エスケープ)です。これでノーマルモードに戻りました。カーソルを持っていくのもキーボード操作。左に移動したいときはh、右に進みたいときはl(エル)、上はk、下はjです。hjklを使って移動したら、xを押して削除。
もっと早く移動したい→bまたはfで単語ごとに移動できる。
行ごと削除したい?→dを2回押す。
一番最初の行に移動したい→gを2回 一番最後の行に移動したい→shift+g
保存したい→:を押してw エディタを閉じたい→:を押してq
操作をもとに戻したい→u やっぱり戻りたくなかった→Ctrl+r
こんなふうに様々な動作にキーが割り当てられています。「Vimキー操作」で検索すれば出てくるので、試しながら覚えましょう。
実践Vim 思考のスピードで編集しよう!(Drew Neil)内容はプログラマ向けの上級レベルです。基本的な動作を身につければこの本を読まなくても十分Vimの恩恵を受けられますが、読むとさらにVimの考え方、そして良さが分かります。ただ、あまりにマニアックなので私は最初の2章しか読みませんでした。またじっくり読んでみたいと思います。
Vim唯一弱点は置換。置換するときは、フリーソフトTresGrepをつかっています。操作が直感的です。
さてVimはそれだけで素晴らしいエディタですが、まだ完全ではありません。AutoHotkeyを設定して、最高の執筆環境が手に入ります。 AutoHotkeyとはキーを割り当てるフリーソフトです。
たとえば、キーボードには「無変換」というキーがSpaceの左にありますね。普段は全然使わないキー。これにEscのキーを割り当てましょう。そうすると、Vimの操作でよく使うEscをわざわざ左上まで押しにいかなくても、左の親指で押せてしまうのです。「変換」キーにはEnterの役割を与えましょう。右の親指でEnterを押せます。「無変換+j」をバックスペースキーにすれば右上まで押しに行く必要はありません。
公式サイトから無料でダウンロードできます。Vimと同じように、自分好みのスクリプトをファイルに書いてフォルダに入れておきます。AutoHotkeyの場合は、AutoHotkey.ahkというファイルです。編集するときは拡張子を.txtにして、編集し終えたら.ahkにして置きます。
PCを起動したときにAutoHotkeyが自動で立ち上がるように設定しましょう。まず、Windowsキー+rで「ファイル名を指定して実行」を立ち上げます。「shell:startup」と打ち込んでEnterを押すと、フォルダが現れます。このフォルダにAutoHotkey.exeのショートカットを入れておくだけ。アプリ・ソフト・ファイルにも使えます。サイトを開きたいならそのサイトのショートカットを、Outlookを開きたいならOutlookのショートカット、開きたいファイルがあるならファイルのショートカットを入れておけば、起動のたび自動で立ち上がります。とても便利です。
参考までに私のスクリプトはこちら。
無変換をEscへ変更
変換をEnterへ変更
無変換+j=backspace
無変換+k=Delete
無変換+m=下に移動
無変換+;=。
など。
文章を書くときに楽しいと思えるのは大切です。VimもAutoHotkeyも好きなようにカスタマイズできます。自分好みに設定して最高の環境を作ってください。