画家・香月泰男
・2024年8月に家族旅行で山口県を訪れた際、山口県立美術館で開催されていた特別展「没後50年 香月泰男のシベリア・シリーズ」を観てきました。
・没後50年 香月泰男のシベリア・シリーズ
特別展チラシ
作品目録
紹介文:現在の山口県長門市三隅に生まれた香月泰男(1911-1974)は、東京美術学校(現・東京藝術大学)で油彩画を学び、卒業後は北海道、次いで郷里の山口で教鞭をとりながら制作に励みました。新進の画家として頭角を現し始めた矢先の1942年12月、香月のもとに召集令状が届きます。およそ4年半にわたった、太平洋戦争への従軍と戦後のシベリア抑留。復員後、香月はその体験を油彩画に描いていきます。それらはやがて「シベリア・シリーズ」と呼ばれるようになりました。57点の油彩画からなるシベリア・シリーズは、それぞれの作品が独立した絵画としての魅力を備えつつも、その全体像をとらえた時、圧倒的な存在感をもって見る者に迫ってきます。本展では、香月泰男の没後30年を記念して、代表作のシベリア・シリーズ全点を公開し、彼の画業を改めて回顧します。さらに、作品に寄せた画家の自筆解説文をあわせて紹介し、戦争と抑留の記憶を見つめつづけた香月の心の動きをたどります。
・感想:
全作品に本人による紹介文がついていました。香月氏の心情が読めて良かったです。作品は香月氏が経験した時系列順に並べられており、終戦後にどこかへ連れて行かれながら「自分たちはどうなるのだろう」と不安に思う気持ちや、シベリアでの過酷な現実、帰郷できるときの喜びが、私のなかにも順番に現れてきました。
シベリア抑留の事実は知っていましたが、それに関する本や作品を見たことはなかったので、今回の展示会は勉強になりました。補足資料としてシベリア抑留に関する記録も展示されていました。それによると、日本兵よりも圧倒的にドイツ兵のほうが抑留された人数は多かったそうです。ドイツ兵のシベリア抑留記などがあれば読んでみたいです。体験談ではありませんが、これなど良いかも→富田武「シベリア抑留―スターリン独裁下、「収容所群島」の実像」。