私は「障害を持っている人がどのように感じているのか」に大変興味があります。私は障害者手帳をもってはいませんし、五体満足です。しかし、広い意味で自分は障害者だと感じます。ある部分で、人が軽々とやってのけることを私は全然できないからです。人と違っているのはときに苦しい。でも数々の本を通して「違いは嘆き悲しむことではなく、むしろ面白いのだ」と思うようになりました。違いを知ることで自分について・他者について理解が深まり、視点が増えます。新しい眼を手に入れると世界は違って見える。素晴らしい瞬間です。
私に眼を与えてくれた本たちを紹介します
1「目の見えない人は世界をどう見ているのか」伊藤亜紗
<あらすじ>美学と現代アートを専門とする著者が、視覚障害者の空間認識、感覚の使い方、体の使い方、コミュニケーションの仕方、生きるための戦略としてのユーモアなどを分析。目の見えない人の「見方」に迫りながら、「見る」ことそのものを問い直す
<感想>
・私が障害に興味をもつきっかけとなった本です。
・著者は「見えない」を語りながら、「見えるとはどういうことなのか」を明らかにしています。違いを知るとはそういうことです。他者の感覚を知ることで、自分の感覚が浮き彫りになる。
・著者の伊藤亜紗さんは鋭い観察力をお持ちです。いたるところから頭の良さが感じられます。特に、抽象と具体を行き来する力。「私にもこれほどの洞察力があったらなあ」と羨ましいです。彼女にしかこの本は書けなかったと思います。
2「ぼくには数字が風景に見える」Daniel Tammet
<あらすじ>主人公は、複雑な長い数式もさまざまな色や形や手ざわりの数字が広がる美しい風景に感じられるサヴァン症候群で、アスペルガー、自閉症も抱えています。みずからの「頭と心の中」を描いた手記。
<感想>
・彼には世界がまったく違ったふうに見えている。衝撃を受けました。
・単に「違う」点だけを説明しているのではありません。彼が家族や友達、周りの世界とどう向き合って前に進んできたか、その道のりも興味深い。親しみを感じたし、勇気をもらいました。
・ダニエルのTED Talkもおすすめです。
3「記憶する体」伊藤亜紗
<あらすじ>障害をもつ人の11のエピソードをもとに、体に蓄積する記憶と知恵を考察。
<感想>
・著者は「目の見えない人は世界をどう見ているのか」の伊藤亜紗さん。
・カバーイラストが変わっていますが、中身も独創的です。
・特に面白いのは中途障害のケース。健常者としての記憶が残ったまま障害のある身体を生きる。感じるはずのない感覚を感じたり、見えないはずのものが見えたりするのは、とても興味深い。
4「丹野智文 笑顔で生きる -認知症とともに-」丹野智文
<あらすじ>
<感想>
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5「自閉症の僕が跳びはねる理由」東田直樹
<あらすじ>
<感想>
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6「さよならを待つふたりのために」John Green
<あらすじ>
<感想>
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7「デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士」丸山正樹
<キーワード>小説
<あらすじ>荒井尚人は生活のため手話通訳士に。あるろう者の法廷通訳を引き受け、過去の事件に対峙することに。弱き人々の声なき声が聴こえてくる、感動の社会派ミステリー。
<感想>
・主人公の荒井はコーダ(ろう者の両親を持つ聴者の子ども)である。コーダがろう者・聴者どちらのコミュニティにも属せない苦しさが伝わってきました。
・手話にも種類があること(日本対応手話、日本手話、ホームサイン)、ろう者教育のあり方(聴覚口話法、バイリンガル教育)など初めて知る話題が多く勉強になりました。
8「コーダの世界」澁谷智子
<キーワード>ろう文化 聴文化
<あらすじ>コーダとは聞こえない親をもつ子どもたち。「ろう文化」と「聴文化」のハイブリッドである彼らの日常は、驚きに満ちている。
<感想>
・障害を持つ人がどんなふうに感じているのかに、大学生のころから興味をもっています。(参考:障害を知る本 おすすめ)昨年読んだ小説「デフ・ヴォイス」でCODA(Children of Deaf Adult)の存在を知り本作を読むことにしました。
・コーダという特殊な状況にある人々を考察しているのはもちろんですが、実はもっと一般的な話題でもあると気づきました。つまり、親子の関係性。親が子とどう関わるか、子が親とどう関わるか、兄弟と親の関係、親子が年をとるにつれて関係がどう変わっていくか。コーダの本からそのようなことが見て取れるとは予想していなかったので、面白いなあと思いました。