好きな本2026


2026年に読んだ本ベストは「新古今和歌集 全評釈」(久保田淳)です。


目次

1 Foreign Affairs Report 2025年7月号

2 ログの読み方、書き方入門

3 新古今和歌集 全評釈

4 猫はソファをかじる

5 万葉の恋歌(こいうた)と大和路(やまとじ)

6 macOS×コマンド入門


1Foreign Affairs Report 2025年7月号」フォーリン・アフェアーズ・ジャパン

<あらすじ>米外交問題評議会(CFR)が発行する国際政治経済ジャーナル「Foreign Affairs」の日本語版。2025年7月号は、アメリカの世紀の終わり、アメリカの世紀の終わり、中東秩序の再編とパワーゲーム、変化した朝鮮半島の地政学、Current Issues。

<感想>

・激しく変化する外国情勢に興味を持ち、試しに外交関係の本を読んでみることにしました。内容は専門的でしたが、読みやすかったです。また買っても読んでもいいなと思いました。

・話題は、アメリカのトランプ大統領の関税政策のほか、イラン・イスラエルの紛争、北朝鮮、中国など幅広い話題がアメリカの視点から語られていました。アメリカ中心ではあるものの、中国や北朝鮮、ロシアの見方や立場にも触れられていて、勉強になりました。

・特に、ソフトパワーについての記事が印象に残りました。ソフトパワー(魅力)がハードパワーより長期的には強力だそうです。なるほど。

「アメリカの世紀」の終わり ドナルド・トランプとアメリカパワーの終焉(Robert O. Keohane, Joseph S. Nye, Jr.)

p7:貿易に派生するパワーはハードパワーで、物質的能力を前提にしている。一方、この80年間にわたって、アメリカは強制やコストの強要ではなく、他を魅了するソフトパワーを蓄積してきた。

p9:トランプ政権はパワーの大きな側面を見逃している。パワーとは自分が望むように他を動かす影響力、能力のことだ。強制、報酬あるいは魅力によってこれを達成できる。最初の2つ(強制、報酬)はハードパワーで3つ目(魅力)はソフトパワーだ。短期的にはハードパワーがソフトパワーよりも有力だが、長期的にはソフトパワーより大きな力を持つことが多い。ヨシフ・スターリンはかつて「ローマ法王はいくつの師団を持っているのか」と嘲笑したと言われる。しかし、ソビエとは随分前に崩壊し、ローマ法王庁はいまも健在だ。

p10:ソフトパワーは短期的にも重要だ。他を魅了する力があれば、他国の行動を形作るためにインセンティブやペナルティにそれほど頼る必要はなくなる。同盟国が相手国を「穏やかで信用できる」とみなせば、説得力が増し、その国のリードに従う可能性も高くなる(もちろん、パワフルな国の穏やかな立場につけこむ可能性もある)。


2ログの読み方、書き方入門」xency

<あらすじ>ログとログの読み方、書き方について解説しています。何気なく読んだり使ったりしている「ログ」について解説しています。

<感想>

・11月に参加した技術書の同人誌イベント技術書典19で見つけました。私はログを書いたり読む機会がほとんどありませんが、日記などの記録を取るのが好きなので、記録の取る上で役に立つかなと思って読んでみることにしました。考え方がすごく勉強になりました。

・以下、印象に残った箇所です。

ログの用途(目的)

p17:ログの用途(目的)は多種多様ですが、重要なことはログを読んだり書いたりするときに用途(目的)を意識して扱うことです。用途(目的)がぼやけたままログを読んだり書いたりすると無駄な行動に繋がることがありあります。

ログレベル(重要度/Severity)

p19:ログレベルはどこから目線かによってレベル判定は変わることがあります。例えば、Excelが強制終了した場合に、Excelのログとしてはエラー(Error)レベルの事象と記録されますが、WindowsのOSとしては単にアプリケーションが1つ強制終了したと言う情報(Information)レベルの事象でログが記録されているかもしれません。このように、事象に対するログレベル(重要度/Severity)はプログラム作成者や、プログラムの立ち位置によって変わることがあります。

適切なログを読む

p31:問題が起こってから初めてログを開いたのでは。そのログにはだいたいどのような内容が書かれているかその時初めて知ることになり、時間を無駄にすることがあるので、普段から自分が関係するシステムについて簡単なログリストのような資料を作っておくとよいです。ログリストは、例えば、どのようなログがどのフォルダ/ディレクトリにあり、更新頻度とサイズはどのくらいで、どのような用途で使えるかなどの情報をまとめておくとよいでしょう。

p32:使って覚える、泥臭いですが、それが一番の近道です。

ログに書かれていないこと

p40:プログラムのログを書く処理部分にバグがあったときに不正なログが書かれたり、ログ自体が書かれなかったり、あるいは高負荷でログ書き込み処理が正しくなされていないなどの挙動になることがあります。(中略)ログが書かれていないイコール「何も起きていなかった」とは言い切れないと言うことです。

ログのその先を読む

p44:ぺーぺー技術者の時は、エラーログやインシデントが発生すると「必ず対応しなければならないもの」として死に物狂いでログ確認、原因調査することでしょう。しかし、熟練した技術者になると「調査に時間がかかるエラーを出しがちなこのシステムは保守コストがかかるので捨てたい」とか「このアーキテクチャやフローは対処しづらいインシデントを出すから今後の採用は避けよう」などと、コストを意識するようになります。つまりログからサーバーやシステム全体に対するコスト意識、コスト換算する視点もあります。

有名ツールの書き方をまねる

p49:何かを上達させるコツは、上手い人のマネをすることです。ログについても同様で、何をどうしたらよいかわからない場合はとりあえず身近で参考となるログの書き方をマネするとよいでしょう。マネをして書き続けることで「ここはもっとこうしたほうがよいのでは?」と思うようになり、ログ書きの勘所が身につくかと思います。大量にログを読み、大量にログを書き、内容を振り返り改善していくことでログの書き方レベルを上がっていきます。

必要なことを必要なだけ書く

p50:基本的にログは細かければ細かいほど問題調査などには有効ですが、一方でログ量が多いことで、必要としているログが埋もれがちになったり、ストレージ領域がひっ迫したり、ログを読むことに工数がかかったり、膨大なログを出力することでプログラムの負荷が異常に高くなってしまったり必要なログが他のログに紛れたり流れたりしてしまいます。そのような状況に対処するには対処するためには、ログを適切なログレベルで出力することが大事です。

・同じ著者(xency)による「手順書を作る手順書」という本もメタ認知で気になります。


3新古今和歌集 全評釈」久保田淳

<目次>

<感想>

・この本も「古今和歌集 全評釈(片桐洋一)」と同じくらい重厚で専門的な本です。意味を知るだけでなく、歌を楽しむことができます。

・量が多いので、少しずつ読んで楽しみたいと思います。面白い箇所を見つけたら、和歌のページに記事を書きますね。

・絶版になっており入手が難しくなっているので、再版・電子書籍化したらいいのにと思います。とても価値のある本です。


4猫はソファをかじる」author

<あらすじ>花形事件記者が何の因果で美術記事などを書くはめになったのか。しかも今度はインテリア雑誌の編集ときた。誌名は、優雅なる住居!これではますますジャーナリスト仲間の笑いものだ。だが、新聞記者クィラランのやるせない気分に追い討ちをかける事件が起きた。初めての雑誌で紹介したばかりの家から高価な翡翠がごっそりと盗まれてしまったのだ。警察は見当違いのハウスボーイに疑いをかけるし、こうなったら名誉挽回、なんとしてでも犯人を挙げなくちゃ。インテリア業界への盗難・殺人事件に挑むクィラランと、陰で助けるシャム猫ココの名推理!

<感想>

このシリーズは、登場人物が初めて姿を現す場面から、その個性が印象的に描かれています。

・プレイボーイで腕利きのデコレイター、デイヴィッド・ライク。

(p21)東洋風のスクリーンの裏から、三十代前半のハンサムな男が現れた。彼は片腕を、凝った帽子をかぶった中年女性の体に回していた。夫人はうれしげに笑いながら、頬を染めている。

ライクは低音のよく響く声でしゃべっていた。「家にお帰りなさい、あなた、そしてご主人に言うんです、あの十二フィートのソファをどうしてもほしいってね。ご主人がこの間買った車に比べれば、どうってことない出費ですよ。それと、いいですか、今度とびっきりのチョコレートケーキを焼いた時には、忘れずに私をディナーに招待してくださいよ。ただし、コックに焼かせちゃダメだ。あなた自身の手で焼いてほしいんですからーこのデイヴィッドのためにね」

話しながらデイヴィッド・ライクはその女性をすばやく入り口の方に連れていき、そこで足を止めて彼女のこめかみにキスをした。それから、実に見事なタイミングで、気を持たせるくせに名残惜しげではないさよならを言った。

彼はクィラランの方にふり向くと、情熱的な表情を突然ビジネスライクで平静な顔に作り直したが、目までは変えることができなかった。ものうげなまぶたと長いまつげのその瞳は、もの思いにふけっているように見えた。それ以上に印象的なのは彼の髪ー真っ白のーで、若々しい日に焼けた顔とのとりあわせは、なんとなく人をどきりとさせる魅力があった。

「私がデイヴィッド・ライクです」彼は愛想よく名乗ると心のこもった握手をした。相手の視線が下に向けられたのはほんの一瞬だったが、チェックのネクタイとラペルの幅を好ましく思ったことがクィラランには感じ取れた。

・翡翠に魅せられたジョージ・ヴァーニング・テイト氏。

(p37)翡翠のコレクターである五十がらみの男が、顔を輝かせて、ようやく姿を見せた。「私の翡翠をご覧になりたいのですか?」彼は言った。「どのケースを開けましょう?写真はカラーで撮るんでしょうね。」彼の顔は洗ったばかりのようなピンク色に輝き、ひっきりなしに口の端にシワを寄せては、中途半端な微笑を浮かべている。この男は人間が丸くなった権力者のようだとクィラランは思った。シルクのスポーツシャツからは密生した腕の毛がのぞいているくせに、頭には毛が一本もなかった。(中略)

コレクターは返事をしなかった。自分のコレクションにすっかり夢中になっていたのだ。彼はうやうやしい手つきで、翡翠のティーポットをガラスの棚から下ろした。ティーポットは純白で、紙のように薄かった。

「わたしの持っている最高傑作です」テイトは言ったが、その声は震えんばかりだった。「純白というのは、非常に稀なのです。これは最初にお見せしない方がよかったかもしれない。大フィナーレのために取っておくべきでした。しかし、このティーポットに対しては冷静な気持ちではいられないんですよ!これほど混じりけのない白は見たことがないし、おまけにバラの花びらのように薄い。これは、記事の中で使えますよ。バラの花びらのように薄い、という表現は」

テイトはティーポットを戻すと、棚から別の作品を出しはじめた。これは中国の鈴で、およそ三千年前のものです……。それから、これはメキシコの偶像で、ある種の慢性病を直すと言われています。残念ながら、腰痛には効き目がありませんがね」彼は大しておかしくもない個人的な冗談を楽しんでいるかのように、口の端をゆがめた。(中略)

(P40)テイトはクィラランに彫刻したメダルを渡した。「触ってごらんなさい」

「冷たいな」新聞記者は言った。

「翡翠は感覚的なものなのですーー肉体のように。翡翠を手にすると、血が騒ぐのを感じますよ。あなたはどうです?」

・ナタリー・ノイトンの美しさを描いた描写を読んで、「外見と魅力(オーラ?)は実は別なのかも」と思いました。

(p134)ハリー・ノイトンの元夫人は、不釣り合いなほど細いウエストときゃしゃな足首以外は、あらゆる部分がふっくらしていた。彼女の顔はかわいらしく、桃を思わせた。桃色の髪をふんわりと膨らませている。

デコレーターの一人が言った。「西部はどうだったかい、ナタリー?」

「土地には何の関心もなかったわ」彼女は小さくてかん高い声でしゃべった。「リーノーの下宿にこもって、ずっとラグにかかりきりだったから。機折り機でデーニッシュ・モダンのシャギー・ラグを作ったのよ。ココアとセロリ・グリーンのハンドメイドのラグを買いたい人、いないかしら?」

「太ったね、ナタリー」

「ん、もう、そうなのよ!することって言えば、ラグの制作をしてピーナッツ・バターを食べるだけ。粒入りのピーナッツ・バターをぽりぽり食べるのが、わたし、大好きなの」

ナタリーは髪の毛の色にあわせたドレスを着ていた。ー体にぴったりと張り付くような、ふんわり織った金色にきらめくウールのドレス。長い縮れたフリンジのついたお対のストールを、肩にかけている。

(p140)コーキーがクィラランのそでをひいた。「すごく頭に来るわ」彼女は言った。「あたしは太らないでいることや、髪の毛をまっすぐにすること、会話を磨くことに、さんざん苦労しているのよ!そこに彼女が入ってくる。ひっきりなしにしゃべりながら髪の毛をちりちりにして、30ポンドも体重を増やしてね。すると、誰も彼もが彼女に夢中になってしまうのよ。猫までが!」

・ヤムヤム初登場の回でした。


5万葉の恋歌(こいうた)と大和路(やまとじ)」安西均

<あらすじ>「うまし国ぞ、蜻蛉(あきづ)島、大和の国は」と歌われた奈良。やっぱり、奈良、大和路といえば万葉集の一節が浮かびます。法隆寺や東大寺の向うに、それを造った万葉の人たちが見えませんか。そして彼らの心は、万葉集に残されています。その万葉集を手がかりに、自分に率直に、愛に正直に生きた人たちの心に出会うための旅。そんな旅にふさわしいガイドブックです。さあ、あなただけの感動を見つけに出かけよう!

<感想>

・昭和56年にサンリオから出版された本です。サンリオが書籍を手がけていた時期があったとは。この本はサンリオガールズブックシリーズの一冊のようです。万葉集の本をガール向けに出すとは斬新。副題は「ロマンチック・トラベル・ガイド」ですって。なんか面白そうだなと思って買ってみました。

・サンリオ編となっていますが、実質的には安西均さんという詩人が執筆されたようです。かなり詳しいです。

・場所ごとに章立てされており、その地にまつわる歌の紹介だけでなく、万葉の時代に思いを馳せながら現代の地を巡るためのガイドが記されています。 私は今や関西を離れ、遠く関東に住んでいるため、実際に万葉の地を巡るのはなかなか難しいのですが、こんな旅ができたら楽しいだろうなと思います。少なくとも一生のうちに、吉野の桜は見に行きたいです。

・まえがきによると、執筆にあたり犬養孝氏の「万葉の旅」を参考にされたとのこと。更に詳しく知りたい場合は、そちらを読むのがいいかもしれません。

・コラムが特に面白かったです。万葉集にまつわる人物や文化が紹介されています。

仏への愛より肉親・恋人への愛の庶民たち

万葉時代は日本仏教がワッと盛り上がりを見せた時期。だから、とかく『万葉集』は仏教色が濃いと思われがちだが、恋の歌、夫と妻の別れの歌が多いわりに、『平家物語』の冒頭の"祇園精舎の鐘の声…"風な世間無常を歌った作品が少ない。何故なのだろう。

第一に、当時の仏教は選ばれた僧の独占物で、一般の人とは無関係。第二に、当時の仏教は天皇の権威を守るために精一杯で、下々の人たちの心を救うところまで手が回らなかった。と、いうより、政治を司どる人々に、一般民衆に心の平安を与えようなどという気はサラサラなかったのだ。一般人は、"仏教会得があるなら、田圃(でんぽ)を耕せ!!"といったところ。

だから、作者の階層が、かなり広い『万葉集』だけに、仏教色が薄いのも納得がいく。


6macOSコマンド入門」西村めぐみ

<あらすじ>本書では、macOSベースでOSの基礎知識とコマンドラインのテクニックを丁寧に解説。macOSの源流にあるUnix系OSのコンセプトを押さえつつ、ファイルやファイルシステム、ユーザやプロセスの概念、シェル、ターミナル.appなど、コマンド実行に役立つOS&関連知識を丁寧に取り上げます。独学でも楽しみながら学べるように、ポイントを押さえた図解や実例が満載です。新版では巻末附録として、主要なコマンド&オプションが一覧できる「クイックリファレンス」に加え、パーソナルユースを想定した「Python」「Raspberry Pi」の2つの環境構築例も収録。macOS、そしてこれからのコンピューターを使いこなしていくための基本の力を身につけたい方々へ向けて、充実の解説をお届けします。

<感想>

・WindowsからmacOSに移行したので、コマンド操作を学ぶために買いました。

・分かりやすくまとまっています。実際にコマンドを探すときは生成AIのGeminiに聞いてしまうことが多いのですが、よく使う操作についてはこの本で体系的に学んで、Geminiに聞かなくてもコマンド操作ができるようになりたいです。